事業資金の調達方法は「一つだけ」ではない
事業を運営する中で、設備投資・仕入れ資金・人件費・広告費など、さまざまな場面で「まとまった資金が必要」になることがあります。
「資金調達=銀行からの融資」というイメージが強いですが、実際にはさまざまな選択肢があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。自社の状況や資金需要の緊急性に合った方法を選ぶことが重要です。
この記事では、法人・個人事業主が利用できる代表的な5つの資金調達方法を比較し、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。
5つの資金調達方法を一覧で比較
| 方法 | 金利(年率目安) | 審査期間 | 審査難易度 | 担保・保証人 | 信用情報への影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| 銀行融資(プロパー) | 1%〜3% | 2週間〜1ヶ月 | 高い | 必要な場合あり | あり |
| 日本政策金融公庫 | 1%〜3% | 2週間〜1ヶ月 | やや高い | 不要な制度あり | あり |
| 制度融資(信用保証協会付き) | 1%〜3%+保証料 | 1ヶ月〜2ヶ月 | 中程度 | 不要な場合あり | あり |
| ビジネスローン | 5%〜18% | 最短即日〜1週間 | 低め | 不要 | あり |
| ファクタリング | 手数料2%〜18% | 最短即日 | 低い | 不要 | なし |
方法1: 銀行融資(プロパー融資)
銀行が独自の判断で融資を行う「プロパー融資」は、最も金利が低い調達方法の一つです。
メリット
- 金利が低い: 年1%〜3%程度で、長期の借入に最適
- 大きな金額にも対応: 数千万円〜億単位の調達も可能
- 銀行との関係構築につながる: 返済実績が今後の融資にプラスに
デメリット
- 審査が厳しい: 財務状況・事業実績・担保の有無が厳格に審査される
- 時間がかかる: 申込みから実行まで2週間〜1ヶ月以上
- 創業期は利用しにくい: 実績がないと門前払いになりやすい
- 担保や保証人を求められることがある: 不動産などの資産がないと不利
向いているケース
業歴3年以上、黒字経営で安定した売上がある中小企業が、設備投資や中長期の運転資金を調達したい場合に最適です。
方法2: 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫(日本公庫)は、政府が100%出資する金融機関で、中小企業・個人事業主への融資に力を入れています。
メリット
- 金利が低い: 銀行融資と同等の年1%〜3%程度
- 無担保・無保証人で借りられる制度がある: 新創業融資制度、新規開業資金など
- 創業期でも融資を受けやすい: 創業融資の実績が豊富
- 返済期間が長い: 設備資金で最長20年、運転資金で最長7年
デメリット
- 審査に時間がかかる: 2週間〜1ヶ月程度が目安
- 事業計画書の作成が必要: 綿密な計画書が求められる
- 面談がある: 支店での面談に時間と労力がかかる
向いているケース
これから事業を始める方や、創業間もない方が低金利で資金を調達したい場合に第一候補となります。
方法3: 制度融資(信用保証協会付き融資)
制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して行う融資制度です。中小企業庁でも制度融資に関する情報を提供しています。信用保証協会が保証人の役割を果たすため、銀行の審査が通りやすくなります。
メリット
- 銀行のプロパー融資より審査が通りやすい: 保証協会の保証があるため
- 金利が低い: 年1%〜3%程度(別途保証料0.5%〜2%程度)
- 自治体の利子補給制度がある場合も: 実質負担がさらに軽くなることがある
- 担保・保証人が不要な制度もある: 小規模企業共済制度との組み合わせも可能
デメリット
- 手続きが煩雑: 自治体・保証協会・金融機関の3者を経由するため
- 時間がかかる: 1ヶ月〜2ヶ月程度
- 保証料がかかる: 金利とは別に年0.5%〜2%程度の保証料が発生
向いているケース
銀行のプロパー融資が難しいが、低金利で資金を調達したい中小企業・個人事業主に適しています。
方法4: ビジネスローン
ノンバンク(消費者金融系)やオンラインレンダーが提供するビジネスローンは、審査スピードと手軽さが特徴です。
メリット
- 審査が早い: 最短即日〜数日で融資実行
- 申込みが簡単: オンラインで完結するサービスが多い
- 審査が比較的緩い: 銀行融資に通らなくても利用できる可能性
- 無担保・無保証人: 原則不要
デメリット
- 金利が高い: 年5%〜18%程度と、銀行融資の数倍
- 借入可能額が少ない: 数十万円〜1,000万円程度が上限
- 返済期間が短い: 1年〜5年程度
- 信用情報に記録される: 銀行融資の審査に影響する可能性
向いているケース
急ぎの資金需要があり、銀行融資の審査を待てない場合の「つなぎ資金」として利用するのが合理的です。ただし、高金利のため常用するとコスト負担が大きくなります。
方法5: ファクタリング
ファクタリングは、保有する売掛金をファクタリング会社に売却して、入金日前に現金化する方法です。融資ではなく「売掛金の売買」であるため、他の4つの方法とは性質が異なります。
メリット
- 最短即日で資金化できる: スピードは全手段の中で最速クラス
- 審査基準が異なる: 自社の信用力ではなく、売掛先の信用力が重視される
- 信用情報に影響しない: 融資ではないため、CICやJICCに記録されない
- 担保・保証人が不要: 売掛金があれば利用可能
- 赤字・税金滞納でも利用できる可能性: 売掛先の信用力次第
デメリット
- 手数料がかかる: 2社間で8%〜18%、3社間で1%〜9%程度
- 売掛金がないと利用できない: B2Bの売掛金が前提
- 継続的な利用はコストが膨らむ: 毎月利用するとコスト負担が大きい
向いているケース
売掛金があり、急ぎの資金が必要な場合に最も効果的です。銀行融資の審査に通らなかった場合や、信用情報への影響を避けたい場合にも有力な選択肢となります。
状況別おすすめの選び方
「時間に余裕がある+低コスト重視」→ 日本政策金融公庫 or 銀行融資
計画的に資金を準備できる場合は、金利の低い公庫や銀行融資を第一に検討しましょう。
「1週間以内に資金が必要」→ ビジネスローン or ファクタリング
急な資金需要には、審査スピードが早いビジネスローンかファクタリングが選択肢になります。売掛金がある場合はファクタリングの方が信用情報に影響せず、審査も通りやすい傾向があります。
「創業したばかり」→ 日本政策金融公庫
創業期は銀行融資が難しいため、創業融資に実績のある日本政策金融公庫が最有力です。
「銀行融資の審査に落ちた」→ 制度融資 → ファクタリング
信用保証協会の保証を活用した制度融資を検討し、それでも難しい場合はファクタリングで当面の資金繰りを改善するのが現実的です。
まとめ
事業資金の調達方法は一つではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。金利の低さを重視するなら銀行融資や日本政策金融公庫、スピードを重視するならビジネスローンやファクタリングが適しています。
重要なのは、自社の財務状況・資金需要の緊急性・調達コストの許容範囲を踏まえて、最適な方法を選ぶことです。また、一つの方法に依存するのではなく、複数の調達手段を組み合わせてリスクを分散させることも経営上の重要な判断です。複数手段の組み合わせ方は「資金調達を組み合わせる|融資×補助金×ファクタリングの最適ミックス」で解説しています。ファクタリングの詳細は「ファクタリングとは?初心者向け完全ガイド」、ビジネスローンとの比較は「ビジネスローンとファクタリングの違い|どちらを選ぶべき?」をご覧ください。日本公庫の融資を検討する方は「日本政策金融公庫の融資を受けるには?審査のポイントと必要書類」が参考になります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、金利や審査基準は金融機関によって異なります。具体的な条件は各金融機関にお問い合わせください。
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